その場所を使う人の
気持ちまで設計する。
入社後は、大手メーカーの生産工場に配属となり、電気設備関連の設計を担当していました。自分が設計した図面をもとに電気設備ベンダーと調整しながら、各設備への配線を考えることが主な業務。その配属先での数年間の勤務の中で、強く記憶に残っている仕事があります。それは、工場内に増設する400m2規模の建屋内の電気設備を設計する案件。納期が短く、スピードを求められる工事でした。しかし、業務効率を優先させるだけではいけない。電気のスイッチ一つとっても、操作しやすい高さはどこなのか検証を重ねる。照明の消し忘れ対策として、一ヶ所で集中管理できるパネルの導入を提案する。現場を何度もシミュレーションして、その場所を使う人たちにとって快適な空間を設計していきました。数ヶ月後、無事に建屋が完成。竣工式でお客様から「時間が限られた中で、ここまで一生懸命こだわってくれるなんて。本当にありがとう。大切にこの建物を使います」と言ってもらえたことはとても感慨深く、仕事に本気で向き合ってきて良かったと思える瞬間でした。この仕事は、ただ単に設計や配線を行っていくだけでは不十分だと思っています。そこに建物を使う人たちへの配慮があってはじめて、設計として機能するんです。
手がけるのは、
巨大な化学プラント。
生産工場の電気設備設計で培ったスキルを活かして、現在はプラントエンジニアとして働いています。設計図面を作成、必要な資材を調達し、生産効率を高めるための配線・設備配置を検討。生産性の高い最新機械の導入などを提案していきます。さらに照明や空調の設計、事務所の新設や改装なども担当しています。私が手掛ける化学プラントの大きさは、約140万m2。東京ドーム30個分もの広さになります。一つのプロジェクトが完了するまでの期間は1年~2年で、プラントの設計に携わる技術者は50名ほど。以前の配属先とは、規模がかなり異なります。特に難しさを感じるのは、数多くの技術者たちと連携しながらプロジェクトを進めること。私が担当するのは主に製造ライン周りの設計ですが、他のセクションや設備とも調整を行いながら、プラント全体を見据えた設計を行っていくことが必要となります。だからこそ専門的なスキルだけでなく、技術者としての広い視野、大規模なプロジェクトを進めていく調整力も身についていると実感しています。この現場で技術者としての幅を広げ、さらにスキルを高めていきたいと思っています。
余裕があるからこそ、
人を想った設計ができる。
配属先やプロジェクトの規模によって、仕事のやり方に違いはあります。クライアントの要望も様々。ただし現場が変わっても、技術者として私が大切にしていることは、ずっと変わりません。クライアントが望む以上のものを図面に描き、実現していく。そんな風に仕事に向き合うためには、気持ちに余裕を持つことが重要だと思っています。入社1年目の頃は、リフレッシュする時間の大切さが分からず、ただ忙しさに流されてしまっていました。その時の反省から、丁寧な仕事をするためにあえて仕事から離れて適度な気分転換をすることが必要だと学びました。今は仕事以外の時間も充実させるように心がけています。幸い当社は休みが多く取れる環境です。仲の良い友だちと日本各地に旅行に行くこともたくさんあります。また、会社の野球サークルにも月に数回は参加し、マイナビEdgeのエンジニアたちと交流して、普段は聞けないそれぞれの配属先の話をしたり、趣味の話をしたりしています。人も電気設備と同じで、ずっと電源がオンだったらショートしてしまう。オフの時間があるからこそ、オンの時間が輝くんだと思います。